主体論

精読 ジャック・ラカン『精神分析の四基本概念(上)』p151〜152

ラカンのセミネールの講義録の中で一番簡単と言われている『精神分析の四基本概念』(岩波文庫)を読んでみました。しかし普通にめちゃくちゃ難しかったので、3段落に範囲を絞り、色々調べながら解釈した結果の「読みの仮説」をここにメモとして残させてもらい…

(俗世マニュアル)「俗世ないし社会の要求事項」

今回ご紹介するのは、勤労の義務に苦しむ私が私が2年半ほど前に書いた「論考」です。論考、と銘打っていますが、論考というほど根拠に富むものであるわけではなく、逆に「世界の解釈をこの論考に一致させると比較的世界観が安定しやすい」という点で、私にと…

「主体の位置」について、あるいは過去の記事における「過ち」

提訴 「なんらかの原理によって筋を通せると自分が思った時は、大抵、自分がその原理を誤解している時である」...そのようなことを、最近私は強く思う。 本記事は学術書ではなくブログなので、どうも上記のような通俗的な書き出しから軽々しく自己の開示を開…

箸休め(あるいは明日も綺麗にならない部屋について)

1 - Room.toBeCleaned(); 部屋を掃除する時、その部屋は少なくとも一回、余計に汚くなる。苔のむすごとく沈着した薄い埃も、無造作に積まれた本も書類も、褶曲され押し固められたモル状の組織から、分子状の暴徒へと化す。やはりこの混乱がなければ、新しい…

道具と隔たりの現象学 〜運転できない奴は何をやってもダメなのか〜

ボードゲームの呪い 「イケイケな人たち」はボードゲームをよくやるということを、私は知っている。皆さんも心当たりがあるのではないだろうか。 彼らは人を騙すのがうまく、駆け引きがうまい。ゲームのプロトコルと目標を瞬時に理解し、それに向けて必要な…

問題集を5周する 〜ひょんたの「不器用」勉強法〜

はじめに 〜「うまくいかない」勉強法〜 センセーショナルなタイトルをつけてしまいましたが、この記事ではごく普通に、私が受験生の頃から依拠している勉強法を紹介したいと思います。何かの合格体験記や、受験時代の回顧録ではありません。 しかしいきなり…

人の話を聞けない私は、キノコになってしまいたい

会話をするのが苦手であることについて 私は他人と会話をするのが苦手だ。それは他人が「怖い」というよりは、他人と接する自分が「惨め」だからである。私には、他人とコミュニケーションをするために必要な「能力」が備わっていないということだ。では、具…

意味は意味する意味である 〜小泉進次郎の「音」を読む〜

意味は意味する意味である 〜小泉進次郎の「音」を読む〜 www.slideshare.net 「幼心」のイントロダクション 「意味の意味って、何だろう?」 小さい頃私が母親に向けて発したこの「意地悪」な問いについて、それが意地悪なものであることを私はすでに自覚し…

弁証法的「奴隷」戦争 〜サルトルとクリステヴァにおける主体の否定性〜

※忙しい方は検討の中にあるヘーゲル読解における共通点と相違点というセクションから読み始めてください。 背景 ジュリア・クリステヴァのほかに、私がもう1人深く勉学の対象にしたいと思っている思想家がいる。それはJ.P.サルトルである。学生時代にも、わ…

「喪失」だけが私である 〜クリステヴァ「自己のアブジェクシオン」を読解する (2) 〜

前回 pyonta-hyonta.hatenablog.com 対象箇所 日本語版:ジュリア・クリステヴァ著・枝川昌雄訳『恐怖の権力』P8~11 英語版:https://www.csus.edu/indiv/o/obriene/art206/readings/kristeva%20-%20powers%20of%20horror[1].pdf いざ精読 第1段落 - 第3文 …

レヴィナス『逃走論』精読 (2)

前回 pyonta-hyonta.hatenablog.com 今回の対象箇所 エニュマエル・レヴィナス 著「逃走論」合田正人 編/訳『レヴィナス・コレクション』、ちくま学芸文庫、2013、P143~178 今回はP147~148をターゲットとします いざ精読 第6段落 しかしながら、近代の感性は…

「自分が他人から好かれないのは、自分に能力がないからだ」

不条理な自己愛 「自分が他人から好かれないのは、自分に能力がないからだ」 子供の頃の私は、他人に好かれるための努力もせずに、むしろ他者との関わりの中でその努力をする余裕を削ぎ落とすべく、能力と呼ばれる数値を上げる努力をしてきた。それが矛盾し…

「喪失」だけが私である 〜クリステヴァ「自己のアブジェクシオン」を読解する (1) 〜

※ この記事にはある重大な問題点があります。その点をまとめた記事を2020年11月に発行したので、よろしければこちらもご参照ください。 pyonta-hyonta.hatenablog.com 動機 本記事では、以前の記事(レヴィナス『逃走論』精読 (1) - pyonta-hyontaの主体論)で…

レヴィナス『逃走論』精読 (1)

背景 (忙しい方は読み飛ばしてください!) 2020年6月に書いた数個の記事(下記リスト)を見直しつつ、私はこの短い間で、「主体の中途半端な自己否定」の思想と呼べるような領域を追ってきたように思う。 「乾いた笑い」の黙示録 〜ジュリア・クリステヴァにお…

優しく分割される主体を言祝ぐ 〜『自己語りの社会学』書評〜

先入観への挑戦 この書評は小林多寿子・浅野智彦編『自己語りの社会学』(新曜社、2018)に対するものである。しかしいきなり宣言するのであるが、私はもともと、「自己語り」を支援活動の手段として活用することに対して、複雑な感情を抱いていた。 「自分嫌…

中途半端に自分を破壊すること 〜否定性の不可避な肯定性〜

背景 本稿は、以前の記事(「乾いた笑い」の黙示録 〜ジュリア・クリステヴァにおける主体への祝福の拒否〜 - pyonta-hyontaの主体論)への応答として、アブジェクシオンの応用のあり方について考察する。具体的には、まず以下の疑問点に対する回答を検討する…

「乾いた笑い」の黙示録 〜ジュリア・クリステヴァにおける主体への祝福の拒否〜

背景 本記事は以下の疑問点に部分的に回答するために執筆される。 例えば目の前の相手が崩れそうな主体を持っていたとする。この場合、傷ついたその主体を鼓舞したり祝福することで、最終的に何らかの(弁証法的ではあるものの)社会平面に属させようとする。…